入門編 教科書
「統計」と聞くと難しそう…と感じる方のための、本サイト独自の入門編です。統計検定 4 級を受ける前段階として、グラフの読み方・割合・平均といった算数レベルの基礎から、ゆっくり統計に慣れていきましょう。小中学生でも、大人の超初心者の方でも、最初の一歩としてご活用いただけます。
目次
- 第 1 章 · 数とデータに親しむ数の読み方・表の見方・割合の考え方など、統計を学ぶ前に押さえておきたい算数の基本。
第 1 章 · 数とデータに親しむ
大きな数とデータの読み方
ニュースを見ていると「日本の人口 約 1 億 2400 万人」「世界の温室効果ガス排出量 350 億トン」など、大きな数字がたくさん登場します。統計を学ぶ最初の一歩は、こうした大きな数を 正確に読める こと、そして だいたいの大きさを感じられる ことです。
大きな数の単位
- 千(せん):
- 万(まん): =
- 億(おく): 億 = = 1 万の 1 万倍
- 兆(ちょう): 兆 = = 1 億の 1 万倍
桁(けた)が大きくなると、たった「ひと桁違う」だけで意味が大きく変わります。「1 億円の予算」と「10 億円の予算」は 10 倍違う、という感覚を持っておくと、ニュースを読み間違えなくなります。
「日本の国家予算 110 兆円」と聞いてもピンと来ないのは普通です。こういうときは『国民 1 人あたり』に直すと一気に身近になります ─ 1.1 億人で割ると、1 人あたりおよそ 90 万円。家族 3 人なら年 270 万円分、政府が代わりに使っている、という見方ができます。大きな数は『割って身近にする』のがコツ。
表からデータを読む
統計でいちばんよく使うデータの形は「表」です。たとえば次のような身長の表を見てみましょう。
クラス 5 人の身長(cm):
| 名前 | 身長 | |---|--:| | A | 152 | | B | 158 | | C | 160 | | D | 165 | | E | 170 |
この表から「いちばん背が高いのは E」「平均的には 160 cm 前後」「みんなで 5 人」など、いくつもの情報がすぐに読み取れる。
実際の数字に触れる
統計は「実生活の数字」を扱う学問です。学校の人数、住んでいる町の人口、好きなスポーツの順位 ─ 身近にある数字をひとつ、メモにとってみましょう。「統計の素材は、わたしたちの生活そのもの」 ─ ここからすべてが始まります。
グラフの読み方
数字をたくさん並べた表は読み取りに時間がかかります。一目で全体の様子がつかめるよう、データを「絵」に変えたのがグラフです。本節では、もっとも基本的な 3 種類のグラフ ─ 棒グラフ・折れ線グラフ・円グラフ ─ の読み方を見ていきます。
棒グラフ ─ 大きさを比べる
棒の高さ(または長さ)で量を表す グラフ。横軸にカテゴリ(クラス・年・国名など)、縦軸に量を取ります。「どこがいちばん多い?」「2 位との差はどれくらい?」が一瞬でわかるのが強み。
読み取るときの注意点: 縦軸の目盛りが 0 から始まっているか を必ず確認します。0 から始まらないグラフは、わずかな差を大きく見せる「見かけのトリック」になっていることがあります。
売上が 100 から 110 に伸びたとき、縦軸を 95〜115 にしたグラフは「2 倍以上に増えた!」ように見え、縦軸を 0〜120 にしたグラフは「ちょっと伸びた」程度に見えます ─ 同じ数字なのに。広告やニュースのグラフではこの『誇張トリック』がよく使われるので、棒グラフを見たらまず縦軸の起点を確認するクセをつけましょう。
企業のダッシュボードでは「直近 12 か月の月別売上」「商品カテゴリ別の売上構成」「目標 vs 実績」などが棒グラフで並びます。意思決定者(社長・部長)が一目で『どこが伸びているか / 落ちているか』を判断する道具になっています。Excel・Google Sheets・BI ツール(Tableau、Looker など)はすべて棒グラフを基本機能として備えています。
折れ線グラフ ─ 移り変わりを見る
時間の流れに沿った変化 を見るためのグラフ。横軸に時間(年・月・日など)、縦軸に量を取ります。「上がっているか / 下がっているか」「いつから急に変化したか」を読み取るのに使います。気温・株価・売上の推移などでおなじみ。
折れ線グラフのいちばん大事な情報は『傾き』です。右上がりなら増加、右下がりなら減少、急な傾きなら変化が大きい ─ 値そのものよりも、線の形状(ナナメ具合)を見るのが折れ線グラフの読み方の基本。学校の成績や売上のグラフを見るとき、まず『どこで傾きが変わったか』を探す習慣をつけると、変化のきっかけが見えてきます。
円グラフ ─ 割合を比べる
全体に対する割合(シェア) を表すグラフ。円全体が 100% で、各部分(扇形)の角度がそのカテゴリの割合を示します。「どこが多数派?」「いちばん少ない部分は?」を見るのに最適。
ただし、項目が 5 つ以上に増えると見づらくなる、似た大きさの項目を比較しにくい、といった弱点があります。そのときは棒グラフのほうが見やすいことも。
グラフの選び方
- カテゴリの大きさ比較 → 棒グラフ
- 時間の流れに沿った変化 → 折れ線グラフ
- 全体に占める割合 → 円グラフ(項目少なめ)
- 割合の時間変化 → 帯グラフを並べる
グラフは「見せたい情報」に合わせて選ぶもの。「自分が何を伝えたいのか」をまず決めてから グラフを選ぶ、というクセをつけると、情報の伝え方が一段上手になります。
平均を体感する
「平均(へいきん)」は、たくさんの数を「ならした」ときの代表値です。学校のテストの平均点、平均身長、平均気温 ─ ニュースでも頻繁に登場する言葉ですが、計算自体はとてもシンプル。本節で、平均との出会いを果たしましょう。
平均の求め方
平均 = 合計 ÷ 個数
たとえば の 3 つの数の平均は、。
5 人のテスト点数が のとき、平均点を求めよ。
解 : 点。
平均の意味 ─ ならすってどういうこと?
「ならす」とは、「みんな同じ量にしたら 1 人分はいくらか」を考えること。たとえばお菓子を「全部足して人数で分けたら、ひとり何個?」を計算しているのが平均です。
A さんが 8 個、B さんが 4 個、C さんが 6 個のお菓子を持っている。3 人で平等にならすと、ひとりいくつになるか。
解 : 合計 個、3 人で割ると 個。
平均が「ふつう」とは限らない例
平均は便利な数字ですが、「平均的な人」がたくさんいるとは限らない という点には注意です。たとえば、ある会社の社員 5 人の年収が 万円だったら、平均は 万円。でも「だいたいの社員の年収が 1340 万円」と聞いたら、ほとんどの社員(年収 500 万円台)はびっくりしますね。
こうした「外れ値」がいるときは、4 級で学ぶ 中央値(まんなかの人)のほうが「ふつうの人」を表すのに向いています。「平均は便利だけど万能ではない」と覚えておきましょう。
数字を 1 列に並べたシーソーをイメージしてみてください。平均は「シーソーがちょうど釣り合う点」です。極端に重い人(=外れ値)が片端にいると、釣り合い点はそちらにグッと引っ張られます。だから平均は「集団の真ん中の人」とは限らないのです。中央値は「並んだ列のど真ん中の人」なので、極端な人がいても動じません。
「日本の平均年収は◯◯万円」というニュース。これは平均値で、上位の高所得層に引っ張られて実態より高めに出ます。同じ統計の中央値(=並べた列のど真ん中の人の年収)は、平均よりかなり低めです。「平均か中央値か」を見分けるだけで、ニュースの読み方が一段深くなります。
次の一歩へ
ここまで来たら、あなたはもう統計学の入口に立っています! 4 級では「中央値・最頻値・範囲・確率の基本」 ─ 入門編で触れたものをもう一段深く学びます。本サイトの [4 級 教科書](/textbook/grade-4) で続きをどうぞ。